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見捨てられた氷河期世代、安すぎる給料…日本が先進国から取り残された「絶望の30年間」

現代ビジネス のロゴ 現代ビジネス 2022/11/12 06:00 小林 美希

日本の平均年収443万円、どのような生活ができるのだろうか。この30年、日本はなぜ「安いニッポン」と呼ばれるまでになってしまったのか。

20年ほど労働や雇用の問題を取材し続けてきたジャーナリスト・小林美希さんの注目の新刊『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』では、就職氷河期世代を直撃した「失われた30年」を総括し、日本の現実を明らかにしている。

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就職氷河期が生み出した絶望する若者たち

就職氷河期は、いつから始まったのか。

1980年代に8割あった大卒就職率が落ち込んだのは、1991年のバブル崩壊後。そこからみるみるうちに就職率は下がっていった。

大卒就職率が初めて6割を下回った2000年に、筆者は大学を卒業した。大卒でも2人に1人しか就職できないという世界が、筆者にも待っていた。

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2003年に大卒就職率は過去最低を更新し、55.1%になった。同年4月には日経平均株価は7607円まで下落した。多くの企業にとっても未来が見えず、雇用環境は激変した。

1991年のバブル崩壊、1997年の金融不安、2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック。そして2020年からのコロナショック。当然ながら私たちの雇用や生活は、常にその時の経済状況に翻弄されてしまう。

経済記者として社会人のスタートを切った筆者には、大きな疑問が生じた。

当時、「失われた10年」から企業利益がV字回復すると、株式市場がITバブルに沸いていた。そのITバブルがはじけた直後、決算説明会で企業がこぞって「当社は非正社員を増やすことで正社員比率を下げ、利益を出していく」と説明したことに違和感を覚えた。

若者の多くが休みなく働き、疲弊していた。正社員になれず、派遣社員や契約社員、アルバイトなどの非正社員として働き、心身をすり減らして絶望する若者が多く存在した。若年層の失業率は、約10%と高く、閉塞感が広がっていた。

〔PHOTO〕iStock © 現代ビジネス 〔PHOTO〕iStock

問題に本気で向き合ってこなかった国

この違和感や閉塞感が何なのか。それを突き止めるため、筆者の就職氷河期世代の取材は始まった。

2003年、内閣府は「国民生活白書」で、2001年時点の15〜34歳の若年層のフリーター数が417万人に上ると発表した。社会の関心が若者の雇用問題に向いたが、企業側の買い手市場は続き、労働条件は悪化していく。

雇用の二極化によって中間層が崩壊していけば、働く本人にとっても日本経済にとっても大きな影響があるはず。ミクロの雇用の質の低下は、マクロの日本経済の弱体化にもつながる。

そう筆者は確信し、2004年から、当時在籍していた週刊「エコノミスト」誌で特集し、問題提起した。それ以降、この問題を追っているが、何かが大きく変わったわけではない。むしろ、OECD(経済協力開発機構)加盟諸国から置いてきぼりになり、日本の賃金は伸び悩んでいる。

国はそのたびに企業の論理を優先させ、人件費を抑制できるような労働法制の規制緩和を行って、真の問題に向き合ってこなかった。雇用や生活が破壊される背景には、法律や制度の構造問題がある。

就職氷河期の当事者でもあり非正規雇用を経験した筆者が、同世代の雇用問題を追って約20年──。事態は良くなるどころか、ますます悪化している。

「平均年収でも生活が崩れてしまう」という現実がもたらす未来は、どんな世界になるのだろうか。私たちは今、どんな社会で生きているのだろうか。

年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活の目的は、平均年収前後の生活の今を知ることから、これから何を問い直さなければならないかを考えることにある。

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