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「発熱外来は爆発」 疲弊する医療現場、軽症者の「自主療養」始まる

朝日新聞デジタル(地域) のロゴ 朝日新聞デジタル(地域) 2022/08/06 10:30 朝日新聞社
自己検査用の抗原検査キットを袋詰めする県職員ら=2022年8月5日午前9時59分、明石市、井岡諒撮影 © 朝日新聞社 自己検査用の抗原検査キットを袋詰めする県職員ら=2022年8月5日午前9時59分、明石市、井岡諒撮影

 新型コロナウイルスに感染した可能性がある軽症者に検査キットを配り、医療機関の受診を控えてもらう「自主療養」が兵庫県内で始まった。背景には発熱外来への患者殺到などで逼迫(ひっぱく)する医療現場の状況がある。キットの利用者は多いとみられるが、膨大な感染者数が続く限り現場の窮状は変わらないとの声も出ている。

 県は5日、神戸市を除く県内全域を対象に抗原検査キットの配送を始めた。軽症で基礎疾患がない2~59歳の有症状者が対象で、受け付け開始からわずか30分で上限の1千人分に達した。来週中には4千人分を受け付けられるよう準備を進めるという。市販の検査キットや無料検査場で陽性判定が出た場合も自主療養者としての登録は可能で、5日は午後2時半までに92人が登録した。

 神戸市も4日から若者を対象にキットの配布を開始。市幹部は「発熱外来に患者が殺到し、あふれた人が救急外来にも多く来ている。市民病院はパンク寸前でコロナ以外の救急にも影響が出かねない」と話す。

 県医師会理事で自身もクリニックで診察を担う平林弘久医師によると、発熱外来に患者が殺到しているのに加え、無症状なのに会社や学校から陰性証明書の提出を求められたという理由で検査を求める電話も多数かかっているという。自主療養制度については「運用が円滑に進むのか、制度が広がるのか見極めなければいけない」と語った。

 「発熱外来は爆発している」。そう語るのは市立西神戸医療センターの磯目賢一医師だ。普段は1日10~30人だがここ数日は150人来る日もあり、電話も鳴りやまない。患者の振り分け業務だけで午前中が終わってしまうという。

 陽性や濃厚接触者になったスタッフの欠員も追い打ちをかける。60~80人が休んでおり、33床あるコロナ病床は7~8割稼働するのが限界だ。「とにかく感染者数が多すぎる。自主療養は発熱外来の状況を多少緩和するかもしれないが、感染者数が減らないとどうしようもない」

 磯目医師が特に心配するのが妊婦だ。「出産間近で陽性になった人の入院先が見つからず、『産む場所がない』事態がすでに起きている可能性がある」。保健所からは毎日妊婦患者の受け入れ要請が来るが、西神戸でもかかりつけの妊婦への対応が精いっぱいで苦慮しているという。

 受診できない不安からか救急要請も増え、消防の出動も限界に達している。熱中症患者の発生も相まって、神戸市消防局では今月1日、過去最多となる410件の救急出動件数を記録した。

 ほぼ全ての消防車が出払っている状態が続き、東灘区の現場に西区からしか出動できないなど、到着に時間がかかるケースが続出しているという。緊急性が低い人も一定数おり、担当者は「呼ぶか迷ったら#7119に電話相談を」と呼びかけ、より重篤な人を救うための協力を求めている。(鈴木春香、井岡諒)

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