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ゴミ屋敷とは真逆の、なんでも潔く譲り、処分する従姉。宝石に羽毛布団、ついに夫も整理して

婦人公論.jp のロゴ 婦人公論.jp 2021/07/22 18:10 高野小枝子
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生い立ちのせいなのか、お金を使うのが大好きで、気前よく高級な品をくれる高野さん(52歳・仮名)の従姉。しっかり稼いで、しっかり使う。「金は天下の回りもの、使うと入ってくる」「買えるうちに買っとく。人間なんていつどうなるかわかんないんだから」が口癖の姉御肌。ついには夫も処分して——。ポジティブ思考もここまでくると、もはや見習うべきか戸惑うものの、「笑って生きたもん勝ち」なのかもしれません

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彼女の口癖は「金は天下の回りもの」

私には5歳年上の、子どもの頃からずっと仲のいい従姉がいます。結婚後も家が近く、子どもの人数と歳が同じ。そして両親と同居していることも同じで、生活環境がよく似ていました。

私たちはまるで実の姉妹のようですし、夫同士も気が合うので、お互いの家を行ったり来たりして家族ぐるみのおつき合いをしていました。クリスマスなどのイベントの時はどちらかの家に泊まって楽しく過ごします。夫同士で飲みに行くこともありますし、年1、2回は家族旅行も。みんなで東京、大阪、岡山、九州などに行きました。

従姉は明るく社交的、活動的で、典型的な姐御肌。イベントや旅行の時はさっさとチケットや宿を手配してくれて、本当に頼もしい限りです。

お互いにフルタイムで仕事をしていたので、使えるお金はそこそこありました。私は子どもたちを大学に進学させるためにこつこつ貯蓄していましたが、従姉はというと、「金は天下の回りもの、使うと入ってくる」が口癖。営業の仕事でトップを取り続けるなど、しっかり稼いでパーッと使うタイプです。「買えるうちに買っとく。人間なんていつどうなるかわかんないんだから」とよく言っていました。

ダイヤにルビー、10万円のスーツも

彼女は教育にも熱心で、幼児のうちから何十万もする学習教材を揃えていました。子どもがピアノを習い始めると、ピアノや発表会のためのドレスを購入。同級生が家を建てると聞けば火がついて、自分も大がかりなリフォームに着手。1階にガレージとキッチン、バス、トイレ、和室が4間、2階に和室2間と洋室3間の大豪邸に。さらに、見たこともない大型犬を飼い始めました。

さらにおしゃれも大好きで、ダイヤやルビー、サファイアのジュエリーをたくさん持っていますし、1着10万円はするスーツを着ています。それくらいのお給料はもらっていたのだと思いますが、それにしても思いきりと気前がよかった。

子どもがピアノに飽きてやめてしまうと、「よかったらピアノいらない? あげるよ」。服やアクセサリーを私が欲しがると、「まあ、だいぶ使ったし、いいよ」と言って譲ってくれるのです。

子どもの着なくなった服やおもちゃ、絵本、そして夫にはゴルフセットまで譲ってくれました。あまりにもらいすぎて悪いので、お金を払おうとすると、「家がきれいになったから、お金なんていらないわ」と決して受け取りません。

彼女はたくさん買い物をするけれど、使わなくなったらすぐに処分する人なのでした。だから家の中はきちんと整理整頓されていて、巷で騒がれている「ごみ屋敷」とは真逆の位置にいる人です。

従姉がこんな性格になったのは、生い立ちに理由があると思っています。彼女が幼稚園の時に両親が離婚。私の祖母でもあるおばあちゃんに育てられました。おばあちゃんは明治生まれで、日に3回掃除をするくらいきれい好き。従姉の母親代わりとして、どこに出しても恥ずかしくないようにと厳しく彼女をしつけたのです。

従姉は口に出して言ったことはありませんが、さまざまなことで我慢をしてきたのだと思います。自分の自由にできるお金を稼ぐようになって、欲しいものを買えることが嬉しかったのでしょう。

夫の浮気で離婚、リーマンショック…

従姉のたった一人の肉親である父親は若くして認知症になり、施設に入所することに。すると、隣人から「空き家になった家を買いたい」という申し出があり、整理好きの彼女は「これはいい機会だ」と喜んですぐに売りました。実家には、従姉一家が帰省した時のために父親が用意した真新しい家財道具があり、家を売るためにそれらを処分すると言い出したのです。

「羽毛布団も炊飯ジャーも掃除機も、新しくてきれいで、処分するのはもったいないよ。あなたのうちは大きなガレージもあって部屋数も多いのだから、そこで保管したら?」

と私が言うと、

「持って帰っても邪魔になるだけよ!」

と笑われました。

でも、あまりにもきれいなので、どうしても捨てることに納得がいきません。了解を得て私がもらうことにしました。狭いわが家に場所を作って保管することに。それが数年後、思わぬ形で役立つとは、この時は夢にも思いませんでした。

彼女は上の子が中学に上がるとすぐに離婚しました。理由は夫の浮気だったと聞いています。夫がいくら謝っても、どうしても許せず、子どもを連れて家を出て行くことを選択。ついに夫まで処分してしまったのです。

慰謝料もなし、養育費もなし。収入はひとり分しかありませんが、引っ越しにはお金がかかります。従姉は嫁入りの時に持ってきた婚礼家具セットもとっくの昔に処分していたので、子どもたちと暮らすことになったアパートに置く家財道具がありませんでした。

「そうだ、譲ってもらった家財道具がある!」。思い出した私は、彼女に返すことにしたというわけです。

その後すぐにリーマン・ショックがあり、彼女は業績の悪化した会社を辞めました。もうかつてのような収入はありません。何も買えなくなったけれど、あっけらかんとして、「ま、人間元気ならなんとかなるわよ」と笑っています。

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