古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

ワクチンの副反応疑い 意識障害、幻視、幻覚、錯覚などはレアケース

NEWSポストセブン のロゴ NEWSポストセブン 2021/06/08 07:05
厚労省は新型コロナワクチンの接種に関わる症状の報告を義務づけている(時事通信フォト) © NEWSポストセブン 提供 厚労省は新型コロナワクチンの接種に関わる症状の報告を義務づけている(時事通信フォト)

 厚労省は医療機関や医師に新型コロナワクチンの接種が原因によるものと疑われる症状の報告(副反応疑い報告)を義務づけ、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会に提出、公表している。

 その中で、厚労省が発表している死亡事例は85件(5月21日時点)ある。血管性の症状で死亡したケースが多いが、医療従事者の25歳男性が「飛び降り自殺」した事例も報告されている。

 自殺はこの25歳男性とは別にもう1件報告されている。53歳女性が2回目の接種の2日後に自殺。医療機関の報告書には、〈接種と自死との因果関係は不明であるが、例えばタミフルによる小児の異常行動等に類する脳・精神への影響があり得るかもしれないと考えたので、注意喚起の意味で報告した。科学的な根拠は全くない〉と記載されている。

「副反応疑い報告」全体では、7297件(接種者の0.12%)の症例が報告されているが、「発熱」(2254件)、「倦怠感」(1494件)などのほかに「意識障害・意識消失」が50件、「幻視、幻聴、錯覚」は16件と、レアケースだが報告例は存在する(5月16日時点。症例は重複含む)。

 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会委員を務める中野貴司・川崎医科大学教授(感染症・予防接種が専門)が語る。

「異常行動、精神異常とワクチン接種の因果関係は分かりませんが、ファイザーの治験や欧米での接種でこうした事例があったことは、私自身は認識していません。接種された多くの方に起きていることはないと思います。

 ファイザーの添付文書には、精神神経系の副反応として頭痛、浮動性めまい、嗜眠、不眠症、顔面麻痺などが指摘されています。これらにより、異常行動のようなことが起こることは考え得るが、この事例が副反応によるものか判断できません」

「ただ」と中野氏はこうも指摘する。

「インフルエンザでうわ言やせん妄、異常言動が起きやすいのは、生理活性物質であるサイトカインが、インフルエンザの感染やそれに伴う免疫応答により血中で上昇する高サイトカイン血症が関与しているという意見があります。

 新型コロナワクチンも免疫を誘導し、副反応として発熱なども起こるわけですから、一連の経過で高サイトカイン血症が起こる可能性はあると思います。ただし、個人差もあるので、副反応として普遍化するためには、多数例で共通の症状が報告された上でのことになると思います」

 世界ではワクチン接種人口が10億人を超えたが、精神障害の報告例はほとんどない。

 世界の論文を調べた医療経済ジャーナリストの室井一辰氏によると、今年4月、ファイザー製ワクチンで89歳の男性が「せん妄」の精神障害を起こした初めての症例を、メキシコの医療チームが医学誌『ジェリアトリクス&ジェロントロジー・インターナショナル』に発表した。

「メキシコの男性には、気が動転するような症状が現われました。2型糖尿病や高血圧で、腎臓が悪いなどの既往歴はあったが、介護なしで自立して生活していた。

 入院して回復しましたが、認知症があったわけではなく、ワクチン接種の影響のようだと研究グループは推定し、『医師はこうした事態が起こり得ることを認識し、患者を注意深く観察し、リスクの高い患者とその家族に警告することが重要だ』と注意喚起しています」(室井氏)

 ただし、医学博士で防災・危機管理アドバイザーの古本尚樹氏は「副反応を必要以上に恐れることはない」と指摘する。

「感染するリスクを考えると、ワクチン接種は必要不可欠です。大切なのは情報公開。新しいワクチンだから、因果関係がわからないケースも含めて副反応の疑い症例を公表し、どういう症例があるかをあらかじめ踏まえていれば、医療機関も冷静に対処できるからです」

 悲劇を繰り返さないため、副反応を正しく知り、備えることが必要だ。

※週刊ポスト2021年6月18・25日号

配信元サイトで読む

image beaconimage beaconimage beacon