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全米1位のBTS「なぜ兵役免除されないのか」が国民最大の関心

NEWSポストセブン のロゴ NEWSポストセブン 2020/09/16 16:05
勲章を授与されても兵役は免除されない(写真/GettyImages) © NEWSポストセブン 提供 勲章を授与されても兵役は免除されない(写真/GettyImages)

 韓国の人気アイドルグループ「BTS(防弾少年団)」の新曲『Dynamite』が8月31日、米ビルボードのシングルチャート「Hot100」で初登場1位を獲得した。2週目に入っても首位をキープしており、韓国では国を挙げての騒ぎとなっている。人気の過熱とともに、韓国国民の関心を引いているのがその経済効果や徴兵制の問題だ。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが解説する。

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 韓国人アーティストとして初めて、米ビルボードで2週連続1位の快挙を成し遂げたBTS。1位獲得のニュースが速報で伝えられるとTwitterでは瞬く間に拡散し、8月31日から9月2日までの3日間で関連ツイートは約4600万件に達した。新聞・テレビなどの韓国メディアやケーブルテレビもこぞってBTSの特集を組み、文在寅大統領も自らの公式Twitterで祝賀メッセージを投稿した。韓国政府は2018年、「世界の若者に韓流と韓国語を広げ大衆文化芸術の発展に寄与した」ことを評価し、BTSに「花冠文化勲章」を授与しており、今やBTSは、政府からも功績を認められた国を代表するスターなのだ。

 それだけに、韓国では今回の記録的ヒットで“どのくらい儲かったか”が話題になっている。韓国文化体育観光部(部は省に当たる)が9月7日公開した調査によると、今回、BTSが「Hot100」で1位を獲得したことで生み出される経済効果は約1兆7000億ウォン(約1520億円)にのぼる。これは、『Dynamite』のヒットによる所属事務所への直接的な売上のほか、BTSの人気に付随して輸出が増えた化粧品や食料品、衣類などの売上を合わせた金額だ。同部によると、この数字はコロナの影響で海外観光客の誘致やコンサートを開催できない状況を踏まえた試算であるため、今後のコロナの状況によってはさらにすごい経済波及効果を生み出す可能性があるという。

 また、BTSの所属事務所のビッグヒットエンターテインメントは、新規株式公開(IPO)を控えており、遅くとも2020年末までには上場を果たす計画だ。このタイミングの『Dynamite』のヒットで、上場後どこまで株価が上がるかが注目される。特に、同事務所の代表で最大株主のバン・シヒョク氏は、メンバー7人にそれぞれ6万8385株を贈与したため、メンバーが手にする具体的な金額にも関心が向けられている。株の公募価格は1株当たり10万5000ウォンを超える見込みとされており、一人当たりが保有する株の価値は、少なくとも71億ウォン(約6億円3000万円)を超える。

 過去には、大手韓国芸能事務所のSMエンターテインメントが所属アイドルに一定の株を相場より安く購入できる「ストックオプション」の権利をあげたことがあったが、贈与という形は異例のこと。ビッグヒットエンターテインメントは、ストックオプションではなく贈与の形を取ったことについて、「BTSメンバーとの長期的協力関係の強化及び士気を高めるため」と説明した。

 BTSは稼ぐだけでなく寄付も積極的に行っている。9月12日に誕生日を迎えたRMは、誕生日の記念として国立現代美術館文化財団に1億ウォン(約900万円)を寄付。昨年も、聴覚障害を持つ青少年の音楽教育を支援するため1億ウォンを寄付した。美術館やギャラリーでの目撃談が多いRMらしい活動だ。他にも、J-HOPEが今年の2月と8月、母校の子供たちやコロナの影響で経済的に苦しむ子供たちのために1億ウォンずつを寄付したり、SUGAも2月、コロナ感染者が急増した地元・大邱のために1億ウォンを寄付するなど、メンバー各々、稼いだお金を関心のある分野に尽くしている。

「兵役免除」求める声も

 もう一つ、今国民の最大の関心事とも言えるのが、韓国人男性なら避けられない「兵役義務」の問題だ。韓国では、満18才以上の男子は28才までに入隊し、1年半~2年間兵役に就かなければならない。国際大会で上位の成績を残したスポーツ選手や伝統芸術家は、才能を活かせるよう軍隊には入らず、役所や福祉施設などで代替勤務をする「代替服務制度」があるが、大衆文化には適用されないため人気絶頂のアイドルや俳優が兵役で活動休止せざるを得なくなる事例はよく見られる。入隊日や除隊日には、ファンが部隊の前まで見送りや出迎えに行くのは恒例行事だ。

 BTSでは、年長のJINから順に兵役義務を果たすことになる。JINは大学院に進学したこともあり2021年末まで入隊を延期できる見込みだが、いずれは兵役に就かなければならない。「ピアノコンクールで1位になると代替服務制度が適用になるのに、米ビルボードで1位になり、莫大な利益を国にもたらしたBTSが適用対象外になるのはおかしい」と憤慨するARMY(BTSのファンの呼称)は多く、「兵役免除」や「特例」を求める声も日に日に強まっている。

 少年だったK-POPアイドルたちが兵役に行くと、規則正しい生活の影響なのか、肌はさらにつるつるになり、筋肉も付いてたくましくなる。「自分を振り返る時間になった」と話すアイドルもいることを思うと、兵役を経験するのも悪くないのかも、と思ってしまうが、人気絶頂の20代の大事な時間を軍で過ごすとなると、人気に影響が出るのは必至だ。

 個人的には、BTS程のスターなら、兵役にはきちんと就いて、軍人として世界平和のために国連のような国際機関で奉仕活動をするとか、その手段として音楽活動を続けるのも悪くないと思う。今のところ、BTSメンバーが兵役を免除される可能性は低いものの、韓国の国会議員らもBTSの兵役に関心を持ち制度改善に動いているようだ。ファンの前から姿を消すことなく兵役の義務を果たせる日も来るかもしれない。

【趙章恩】

ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

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