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年収100万円台の衝撃。トランクルーム1畳半に住む40代に聞いた

SPA! のロゴ SPA! 2019/09/03 08:53 日刊SPA!
身長180cm近い落合さん。毎朝、起きるたびに固まった体の柔軟体操から始めるという。「おまけに神経を張っているので、なかなか熟睡はできません」と話す © FUSOSHA Publishing Inc. 提供 身長180cm近い落合さん。毎朝、起きるたびに固まった体の柔軟体操から始めるという。「おまけに神経を張っているので、なかなか熟睡はできません」と話す

 ますます広がる日本社会の格差。その日暮らしを強いられる年収100万円台の人たちは、過酷な環境下でどのような夏を過ごしているのか。全国各地で新たに生まれている貧困の現場をリポートした。

◆窓のない約1畳半の貸し倉庫に住む

「バイトや派遣で生計を立ててきましたが、3年前の派遣切りでアパートの家賃が払えなくなった。友人宅を転々とするも数か月で限界に……。そこで敷金・礼金の必要ない貸倉庫に住むことにしたんです」

 普段使っていないものを低価格で預かる「トランクルーム」。空きマンションを使った屋内型、郊外の道路沿いにある屋外型があり、どちらも窓もなく、薄い鉄板一枚で仕切る完全なる“倉庫”。本来は生活・寝泊まりが禁止されているが、利用料金の安さから住み着く人が増えているという。落合健太さん(仮名・44歳)もその一人だ。

 彼の“部屋”は東京・豊島区の雑居ビルの2階にある貸倉庫だ。広さは約1畳半、契約額は月2万円。カードキーを使いフロアに入ると、中央の狭い廊下の両脇に無機質なドアがずらりと並ぶ。ここには計50室の貸倉庫がある。

「窓がない密閉空間で、24時間電気はついている。携帯電話がなければ昼か夜かもわからない。カビとホコリの混じった臭いも酷く、とても人が住める環境じゃない。エアコンもないので夏場は蒸し風呂状態。最初の1か月は気が狂うかと思いました……でも、日雇い中心で月収10万円、年収100万円台では、ほかに行くアテもありません」

 昼は図書館や役所などの無料施設、夜は日雇い仕事で極力貸倉庫にはいないよう心がけているという落合さん。それでも仕事がない夜は、部屋で過ごすしかない。

「当然ながら台所はなく、火も使えないので自炊はできない。外食の余裕もないので、スーパーの割引惣菜や100円コンビニの値引き品しか口にしていません」

◆同じ倉庫に住む人に盗まれて…

 連日の猛暑で、室温は35℃に上昇。エアコンのない部屋で、命を削る生活を送る。

「凍っているお茶を買ってきて枕元に置いています。冷却ジェルシートも欠かせませんね。小型の手持ち扇風機も、音で住んでいるのがバレそうなので使えません」

 そんな過剰に耳を澄ます生活で落合さんの聴覚は冴えてしまう。

「ほかにも倉庫に住んでいる人がいる。物音が聞こえることがあるんです。今じゃ足音だけで誰かわかりますね(苦笑)」

 また倉庫内の「住人」同士のトラブルも絶えない。

「廊下の電源を借りてDVDプレーヤーを充電していたら、一瞬で盗まれた。以前、部屋が荒らされた形跡もありました。だからといって、隠れ住んでいる僕が管理会社や警察に訴えるわけにはいかない。また、つい先日は部屋のドアをこじ開けようとした倉庫荒らしに遭遇し、必死で内側から押さえ続けました。寝るときは扉にマグネットを2つつけ、割り箸を渡して“施錠”しているほどです」

 こんな極限状態の貸倉庫生活がいつまで続くのか。

「犯罪者でもないのに、こんな場所に住むのはもう限界です。国に頼ることも考えていますが、でも助けてくれるのか……」

 倉庫での自問自答は続く。

 過去に何があったにせよ、人としてこんな生活を強いられる筋合いはない。役所に行って生活保護の相談をするか(渋られる可能性もあるが)、一人では難しければ支援するNPOなどに協力してもらうか…。ともかく、誰かに相談してみてほしいのだ。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

※週刊SPA!9月3日発売号「年収100万円の衝撃」特集より

―[年収100万円の衝撃]―

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