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日本から「品性ない」発言も…16歳の環境活動家めぐる中傷の声

AERA dot. のロゴ AERA dot. 2019/10/07 17:00
ニューヨークの国連本部であった気候行動サミットで、「How dare you!(よくも!)」と繰り返し、各国政府代表をにらみつけたグレタ・トゥンベリさん。16歳の言葉とその表情が、世界を揺らしている/9月23日(写真:gettyimages) © Asahi Shimbun Publications Inc. 提供 ニューヨークの国連本部であった気候行動サミットで、「How dare you!(よくも!)」と繰り返し、各国政府代表をにらみつけたグレタ・トゥンベリさん。16歳の言葉とその表情が、世界を揺らしている/9月23日(写真:gettyimages)

「よくも!」。国連本部で各国代表をそうにらみつけたグレタ・トゥンベリさん。彼女への中傷や揶揄について東大名誉教授の上野千鶴子さんが語る。AERA 2019年10月14日号に掲載された記事を紹介する。

*  *  *

「若者たちはあなたたちの裏切り行為に気づき始めている。全ての未来世代の目があなたたちに注がれている。もし私たちを失望させるなら、決して許さない。逃げおおせはさせない」

 9月23日。米ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットで、三つ編みをさげた少女は各国代表を前に怒った。目は潤んでいた。

 グレタ・トゥンベリさん。環境活動家。16歳。温暖化対策を促す運動を昨夏スウェーデンで始め、いまや地球環境の危機を訴える世界的な象徴になった。ノーベル平和賞の候補に推薦され、そのインスタグラムを730万人がフォローする。

「苦しんでいる人たちがいる。死に瀕している人たちがいる。生態系全体が破壊されている。大規模な絶滅が始まろうとしているのに、話すのは、お金のことばかり。永遠の経済成長というおとぎ話ばかり。よくも(How dare you)!」

「How dare you」を4回繰り返したスピーチは、日本のメディアでも大きく報道された。

 そもそもなぜ、トゥンベリさんは脚光を浴びたのか。

「気候のための学校ストライキ」。昨年8月、そう書いたプラカードを掲げ、トゥンベリさんはたった1人、ストックホルムの議会前に座り込んだ。3週間、学校を休んで、総選挙を前に温室効果ガスの削減を求めた。

 その後も毎週金曜日、学校を休んで抗議を続けた。この運動が「#FridaysForFuture(未来のための金曜日)」「#ClimateStrike(気候ストライキ)」のハッシュタグでSNSを通じて拡散。オーストラリアで、ドイツで、スイスで、カナダで、若者らが金曜日に授業のストライキを始めた。今年3月15日のストライキは130カ国以上、2千カ所以上に広がった。

 そして9月20~27日、国連気候行動サミットの前後に、「グローバル気候ストライキ」として185カ国760万人以上が声をあげた。トゥンベリさんはその象徴として、会議で冒頭の演説をした。

 だが、トゥンベリさんには、批判、中傷、揶揄も繰り返されている。

「明るく素晴らしい未来を夢見る、とても幸せな少女のようだ。見られて、よかったよ!」

 ツイッターでトゥンベリさんを皮肉るコメントをしたトランプ米大統領。米国が寒波に見舞われた1月にはこんなツイートもしている。

「もっと寒くなるそうだ。外に数分といられないぞ。地球温暖化はどうなってる?」

 天気と気候の混同。欧米では「地球温暖化はでっち上げだ」などと、科学を否定する集団が一定の勢力を持つ。米国は、温暖化対策の国際ルール・パリ協定からの離脱を表明している。

 日本でもこんな発言が相次ぐ。

「16歳の考えに世界が振り回されたらダメだ」(橋下徹・元大阪市長)。「洗脳された子供」(作家の百田尚樹氏)。「お嬢ちゃまがやってることが間違ってる」(作家の竹田恒泰氏)

 ネット上で「小娘」「お姉ちゃん」と見下した表現や「彼氏紹介してやれ」といった侮辱がなされ、多くの「いいね」を集める。そんな日本の状況について、東京大学名誉教授の上野千鶴子さんはこう話す。

「女性、子どもの声を『無力化』『無効化』する対抗メッセージはいつでも登場します。それをやればやるほど、そういうことをやる人の権力性と品性のなさが暴露されるだけです」

 上野さんは4月の東大入学式の祝辞で、痛烈な性差別批判をした。祝辞では「しょせん女の子だから」と足を引っ張ることは「意欲の冷却効果」と説明し、ノーベル平和賞を受けたマララ・ユスフザイさんの父が「娘の翼を折らないようにしてきた」との発言を紹介した。

「同じメッセージを権威のある男性が言えば、聞かれるでしょうか? 繰り返されてきたメッセージに『またか』の反応があるだけでしょう。グレタさんのスピーチは、世界の要人が集まっても、いつまでたっても、何の進展もない現状に対するまともな怒りをぶつけたものです」

 上野さんはこうも指摘する。

「環境問題は『未来世代との連帯』と言われてきました、が、その『未来世代』は死者と同じく見えない、声のない人びとでした。その『未来世代』が当事者として人格を伴って登場したことに、世界は衝撃を受けたのでしょう」

(ライター・溝呂木佐季)

※AERA 2019年10月14日号より抜粋

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