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洗剤・柔軟剤などに含まれる「香りマイクロカプセル」が、環境だけでなく人体にも悪影響を及ぼす!?

HARBOR BUSINESS Online のロゴ HARBOR BUSINESS Online 2019/06/27 08:31 ハーバービジネスオンライン
© FUSOSHA Publishing Inc. 提供

 6月29・30日に大阪で開催されるG20サミット首脳会議の大きなテーマの一つが「廃プラ(プラスチックゴミ)問題」だ。地球規模の環境汚染を引き起こしているこの問題に、国際的な対策の枠組みを作る話が進んでいる。

 また、プラスチック容器を多用している食品産業分野でも対策の機運が出ている。しかしこうした動きには盲点がある。プラスチックによる環境汚染の大きな原因となっているマイクロカプセルが抜け落ちているのだ。このことに気づいた市民団体日本消費者連盟(以下、日消連)は、G20を前に緊急提言を出して注意を喚起している。

洗剤などに使われている香り成分が、化学物質過敏症を引き起こす

 いま、農薬や香料、洗剤・柔軟剤、医薬品、化粧品などさまざまな商品で、微小なプラスチック容器であるマイクロカプセルに素材を閉じ込める商品が開発され、広く使われている。その範囲は、繊維(衣類の蓄熱・吸熱)、塗料(蓄熱・吸熱・吸音など)などにも及んでいる。周りの生活用品のほとんどに使われているとみてよい。

 

 このところ伸びが大きいのは農薬や除草剤、化学肥料などの農業用資材だ。成分をマイクロカプセルに入れ、徐々に環境中に放出されることで、効果が長続きすることを狙っている。以前は何回も散布した除草剤も、最近では「一発除草剤」と呼ばれる、1回の散布で効果が持続するタイプが主流になっている。

 テレビのコマーシャルでお馴染みの香りつき洗剤・柔軟剤も、最近では香りが長続きする製品が売りになっている。これも香り成分をマイクロカプセルに封じ込めることで可能になった。洗剤・柔軟剤の香りは化学物質過敏症の一つである「香害」を引き起こし、社会問題となっているが、その背景にはマイクロカプセルの普及がある。

花粉症対策のマスクも通過してしまう「マイクロカプセル」

 このマイクロカプセルの大きさはどのくらいなのだろうか。技術はだんだん進歩していて、1㎛(マイクロメートル=100万分の1メートル)のものまでできている。花粉症を引き起こす花粉が約30㎛、大気汚染で問題となる微小粒子が2.5㎛だから、いかに小さいかがわかる。花粉症対策のマスクをしても自在に通過してしまう。柔軟剤の場合、キャップいっぱいにこのマイクロカプセルが1億個入っている。

 マイクロカプセルはその役割を終え、封じ込めた成分を放出した後も環境中に残る。そこで使われている素材はメラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、ポリイソシアネートモノマーなど、いわゆるプラスチックである。

体内に入ったマイクロカプセルがさまざまな病気の原因に!?

 これらの微小プラスチックは環境に放出され、生体内にも取り込まれながら地球全体に広がる。その影響は土壌、河川、海洋、大気そして人間を含むあらゆる生命体に及ぶ。例えば洗剤や香料に使われたマイクロカプセルは洗濯のたびに下水に放出され、海に流れ出る。人の肺にまで入り込み、喘息、気管支炎、肺がんなどを引き起こす場合もある。

 EUではすでに規制の話が出ている。EU専門機関の欧州化学物質庁(ECGA)は2019年1月、欧州域内における「意図的に製品に入れられたマイクロプラスチック(Intentionally added microplastics)」の規制に関する提案を欧州委員会に提出した。

 その規制の中にはマイクロカプセルが含まれている。洗剤などに含まれる香りマイクロカプセルについても、5年の猶予は与えているものの「禁止すべき」という姿勢を打ち出している。

「即刻禁止すべき」と消費者団体は提言

 この数年、洗剤などに含まれる香り成分による人体への被害を訴え、関係政府機関や業界に規制を働きかけている日本消費者連盟は、こうしたEUの動きにも触れながらこう訴えている。

「世界のマイクロカプセル市場は、医薬品や農薬など広い分野に及び、家庭用品への使用も拡大しています。医薬品などやむを得ない場合を除き、家庭用品へのマイクロカプセル使用は、土壌や海、空気、人体のプラスチック汚染をさらに深刻化する恐れがあることから、即刻禁止すべきです」

 同連盟は5月22日に、衆議院会館会議室で「柔軟剤・香りマイクロカプセル」についてのシンポジウムを開催。一般市民をはじめ、国会議員・地方議員に向けて「この問題に注目してほしい」と呼びかけた。環境汚染だけでなく、人体への大きな影響が懸念されるこのマイクロカプセル問題。早急な対策が求められている。

<文/大野和興>

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