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100人と見合いした41歳女性が受けた仕打ち 年収800万の男性と婚約、新居も購入したが…

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/04/06 16:05 鎌田 れい
国木田知恵さん(仮名)の悩みとは?(写真:Graphs/PIXTA) © 東洋経済オンライン 国木田知恵さん(仮名)の悩みとは?(写真:Graphs/PIXTA)

 この連載は、仲人として婚活現場にかかわる筆者が、毎回1人の婚活者に焦点を当て、苦悩や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく。

 今回は、婚活歴3年、100人近くと見合いの末に婚約に至ったが、破談になった41歳バリキャリ女性のストーリー。破断になった原因とは? どのような結婚相手を選んだら幸せになれるのか?

3カ所の結婚相談所を渡り歩いた

 国木田知恵(41歳、仮名)が、私のところに婚活相談に来るのは、これで2回目だった。

 自立して生活をするバリキャリで、スラリとした長身の美人だ。最初にやってきたのは昨年末のこと。そのときは、大手結婚相談所で出会った男性と結婚の話が進んでいるのだが、このまま結婚していいものかどうかで悩んでいた。

 「38歳のときから、3カ所の結婚相談所を渡り歩いてきました。お見合いを100人近くしたのにうまくいかなかった。そんな中でやっと出会った男性なんです」

 それが田渕則雄(44歳、仮名)だった。大手のメーカーに勤めていて、年収は800万ほど。たまたま同じ町に住んでいて、お互いに一人暮らし。ウィークデーの会社終わりに地元で会えたことも、2人の仲を急速に近づけた。3回、4回と会っていくうちに、互いの家を行き来するようになり、男女の関係にもなった。

 なぜ結婚を悩んでいるのか。それは、ささいなことにもキレて怒り出す則雄の性格にあった。深い関係になる前から、取るに足らないことで気分を害するのが目についたが、互いの家を行き来する仲になると、感情をむき出しで怒るようになった。

 最初に爆発したのは、知恵の家で、手作りした夕食を食べているときのことだった。

 「彼が鼻水をタラーッと垂らして、それがテーブルに落ちたんです。だから、『風邪ひいたの? 鼻水ふいてよ。おかずに入るじゃない』って言ったんです。そのとき、私が少し顔をしかめたのかもしれません。『お前だって、風邪ひけば鼻水くらい垂らすだろう!』って、ものすごい勢いで怒りだしたんです。箸をバン!とテーブルの上に置いて、そのまま自分の家に帰ってしまった」

 ところが、家に帰った則雄から、すぐに謝りの電話がかかってきた。

 「ごめん。風邪をひいて体調が悪くてイライラしていた。せっかく夕食を作ってくれたのに悪かったよ。風邪が治ったら埋め合わせするから。何かおいしいものを食べに行こう」

 しおらしく謝られると、彼が愛おしくなり、“これからは私も言い方に気をつけよう”と思った。

 しかしながら、その後もささいなことで怒りだすことが続いた。則雄の家で豚肉の生姜焼きを作り、キャベツの千切りと合わせてお皿に盛りつけ、食卓に出したときのこと。知恵が生姜焼きばかりを食べていると、「キャベツも食べろよ」と急に語気を荒らげ、食事をするのをやめて別の部屋に行ってしまった。ソファーに並んで座ってテレビを見ていたときのこと。知恵はじゃれあいのつもりで、ふくよかな則雄のお腹の肉をつまみ、「これは、なんだ〜〜」とおどけると、「何するんだよ!」と、その手をパンとはねのけ、驚くほどの大声で怒鳴りだした。

 また、コンビニの若い女性店員から不愉快な対応された知恵が、そのことを愚痴ったときのこと。「俺がお前を不愉快にさせたわけじゃないだろう。こっちは疲れてるんだ。くだらない話するな!」とキレて、デートの途中で家に帰ってしまった。

「お前が俺を怒らせているんだ」

 則雄はいったん怒りだすと、怒りがどんどん増幅していく。目が据わり、ウーッと歯を食いしばったかと思うと、罵詈雑言を並べたてて喚き散らすという。そして、決まって言う。

 「お前が俺を怒らせているんだ。どうしてくれるんだ」

 ひどいときは、1時間も2時間も怒り続けるという。

 そんな話を聞いて、私は知恵に言った。

 「人には“喜怒哀楽”の感情がありますよね。 “怒”の感情をあらわにする人を結婚相手に選ぶと、心が休まることがないですよ」

 怒りの沸点が低い人は、ストレスや不満を感じやすい気質だ。自分の考えている筋道があり、そこに横やりが入ると突然怒り出す。つまりはそういう脳の構造なのだ。また、プライドが高く、その裏返しで劣等感も持ち合わせている。ことに男性の場合、恋愛関係において女性よりも優位に立ちたがる。自分の気にさわるようなことを言われると許容できずに、怒りの感情をあらわにするのだ。

 「怒るという行為は、相手の人格を攻撃するということ。人に備わっている防御本能から、怒りやすい人と一緒にいると、相手を怒らせないように、いら立たせないように、いつも顔色をうかがうようになりますよ。そんな相手と結婚生活を送るのは疲れるんじゃないですか?」

 「わかりました。彼と結婚して本当に幸せになれるのか、もう一度よく考えてみます」

 年末の相談のときは、こう言って帰っていった。

婚約、成婚退会、新居購入後に破談

 そして、先日、再び相談にやってきた。入会したいという。

 「あれから結局お付き合いを続けていました。そして、12月にプロポーズされて、結婚相談所を成婚退会したんです。その後、それぞれの親にあいさつに行って、新居のマンションまで購入しました。ところが3月に入って、彼から婚約解消を言い渡されたんです」

 こういうと知恵は、あふれ出てくる涙をハンカチで拭った。

 「前回相談に来て、いろいろお話を聞いて、“やっぱりこのお付き合いは、やめたほうがいいのかな”とも思いました。でも、彼にもいいところがある。怒らないときは、優しい人なんです。それにキレて罵詈雑言を並べたてるけれど、私には決して暴力を振るわない。仕事にはまじめで、稼ぎもある。怒るところさえなくなれば、理想の人だった。だから、別れられなかった」

 そしてなにより41という年齢が、まとまりかけた結婚を壊す気持ちに歯止めをかけた。

 「彼と別れたら、次がいつ現れるのかわからない。今結婚すれば、最後のチャンスで、子どもも授かることができるかもしれない。ならば、私が彼を怒らせないように気をつければいい。私が彼に愛情を注いで生活をしていくうちに、怒りやすい性格も直るんじゃないかって思ったんですね」

 そう思って付き合いを続けていった。キレてケンカになるのはしょっちゅうだったが、その都度仲を修復して、婚約までこぎつけた。

 ところが、ある出来事が決定的な破局につながった。

 則雄の家に遊びに行ったときのこと。ある新興宗教団体が発刊している小冊子がテーブルの上に置かれていた。ソファーに座ってテレビを見ていた彼に聞いた。

 「この宗教に入っているの?」

 「ああ、名前だけな。両親は熱心にやっているけれど」

 「私、その団体は好きじゃないよ。結婚して家計から寄付金を出すとか嫌だからね。それに、どんなに勧められても私は入らないよ」

 その一言が、また怒りを買った。

 「なんだ、その言いぐさは! 俺はしぶしぶ名前だけ入れてるんだよっ!!」

 目の前のコップを知恵めがけて投げつけてきた。それが知恵の体に当たった。物を投げつけられたのは初めてで、頭の中が真っ白になった。暴言を吐くものの、知恵には手を上げなかったのに、初めて暴力を振るわれたような気持ちになった。

 「何するのよー!」

 とっさに近くにあったボール紙を丸めて、則雄に向かって投げつけると、それが彼の足に当たった。

 「お前こそ何するんだ! 骨折したらどうするんだよ」

 「骨折? 紙で骨折なんかするわけないじゃない?」

 これまでずっと抑えつけてきた感情が一気に爆発し、怒りに任せて則雄と同じテンションで怒鳴り返した。

 すると、則雄はさらに怒りを増幅させ、これまでで一番の大声で怒鳴った。

 「帰れ! さっさ消えろ!! 結婚は取りやめだっ!!!!」

 その日は、泣きながら自分の家に帰った。しかし、1日経ち2日経ちすると、知恵には後悔の念が押し寄せてきた。やっとのことで結婚できる相手に出会い、新居まで購入したのだ。なんとか修復できないか。その後は何週間にもわたって、何度も何度も泣いて謝ったが、則雄は聞く耳を持たず、「結婚はできない。買ったマンションは俺が引き取る」の一点張りだった。

見た目や年収よりも、穏やかな人がいい

 破局に至った経緯をここまで話すと、知恵は言った。

 「20代のころ、8年付き合っていた人がいたんです。大学在学中から、30歳になる直前まで。今考えれば、めったに怒る人ではなかったし、その人をもっと大事にして結婚してしまえばよかった。あまりにも付き合いが長すぎたのと、最後の3年は彼が仕事で転勤になって、気持ちがすれ違ってしまった。あのときは彼と別れても、次がすぐ見つかると思っていた。でも、30歳を過ぎたら恋愛できる相手も急激に減ったし、35歳を過ぎてからは、恋愛する相手すら見つからなくなった」

 さらに、知恵は続けた。

 「3年前結婚相談所に入った当初は、年収、見た目にこだわっていたけれど、今は、まじめに仕事をする人で、ちょっとしたことでは怒らない、穏やかな人がいいなと思います。でも、そういう人は、出てくるんでしょうかね?」

 「出てくるまで、逢い続けましょう。伴走しますよ」

 すると、やっと笑顔を作った。

 「そうですね。残りの人生をひとりぼっちで生きていくのは、やっぱり寂しいですから」

 こうして知恵の新たな婚活が、リスタートした。

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