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デスクトップ向けComet Lakeは2020年2月ごろ登場? インテル CPUロードマップ

アスキー のロゴ アスキー 2019/11/18 12:00 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII
© Kadokawa Corporation 提供

 先週はAMDだったので、今週はインテルのロードマップを更新しよう。こちらも、前回ちゃんとロードマップを更新したのは連載525回と、AMDほどではないが久しぶりである。ただそれほどアップデート情報はないのだが。

2017年~2020年のインテルCPUロードマップ © Kadokawa Corporation 提供 2017年~2020年のインテルCPUロードマップ

Cascade Lakeの最初の製品となった

Xeon W-3200シリーズ

 実はデスクトップに関して言えば、6月以降ではあまり新製品は存在しない。まず6月3日、インテルはark.intel.comを更新して、Xeon W-3200シリーズの新製品を登録している。

 Xeon W-3000シリーズといえば、ジサトライッペイ氏の私物で有名(?)なXeon W-3175Xが2019年1月末に発売され、2月にはさっそくベンチマークが取られることになっていたのはご存じの通り。

28コア/56スレッドのワークステーション向けCPU「Xeon W-3175X」 © Kadokawa Corporation 提供 28コア/56スレッドのワークステーション向けCPU「Xeon W-3175X」

 ただXeon Wという製品カテゴリーそのものは2017年から存在しているが、この時のパッケージはCore-Xと同じLGA2066を使っており、LGA3647を利用するのはXeon W-3175Xただ1製品のみという、なんというか取って付けたような扱いになっていた。

 LGA3647そのものはXeon Scalableと共通ではあるが、Xeon W-3175Xに対応するマザーボードそのものが登場したのは2019年3月のことで、いろいろ意味で無茶な感じのする製品であるが、どうもインテルはこのプラットフォームをもっと拡充することを決めたようだ。

LGA3647対応のASUS製マザーボード「ROG Dominus Extreme」。フォームファクターは355×355mmのEEBとかなり特殊 © Kadokawa Corporation 提供 LGA3647対応のASUS製マザーボード「ROG Dominus Extreme」。フォームファクターは355×355mmのEEBとかなり特殊

 この結果として6月に追加されたのがXeon W-3223~Xeon W-3275の6製品(モバイル向けも含めると9製品)である。ハイエンドのXeon W-3275は4449ドルと、Xeon X-3175Xより1500ドルも高い価格付けになっているあたり、想定ユーザーがいまいちはっきりしないのだが、ローエンドのXeon W-3223は749ドルとお手頃(ただし8コア16スレッドなので、やや非力な気はする)で、ワークステーション向けには良い選択肢なのかもしれない。

 この新しく追加されたXeon W-3200シリーズが、デスクトップ向けCascade Lakeの最初の製品群ということになる。

2017年~2020年のインテルCPUロードマップ © Kadokawa Corporation 提供 2017年~2020年のインテルCPUロードマップ

いまだに市場投入されない

Core-XとXeon W-2200シリーズ

 次いで発表記事にもあるように、Core-XシリーズもCascade Lakeで刷新された。もっともこちらは10月早々に発表されたにも関わらず、いまだに市場投入されていない。

Cascade LakeベースのCore-X © Kadokawa Corporation 提供 Cascade LakeベースのCore-X

 昨年のCore i9-9900Kもどんどん順延していたので、珍しいわけでもない。とはいえ、そろそろ出荷されても良さそうな気がする、というわけでロードマップには“2019/11?”と記述させていただいた。

 このCascade Lake-XベースのCore-Xとおそらくは同じタイミングで、やはり10月に発表されたXeon W-2200シリーズも市場投入されるのではないかと思われる。

Xeon W-2200シリーズのラインアップ © Kadokawa Corporation 提供 Xeon W-2200シリーズのラインアップ

Kaby Lake-Gが生産終了

 さて、こうした新製品が投入される一方で、10月9日にはKaby Lake-Gに関するPCN(Product Change Notification)がリリースされ、Kaby Lake-Gが2020年1月一杯で受注終了、最終出荷日は2020年7月末となることが発表された。

 後継製品は今のところ予定されておらず、本当にピンポイントリリーフとして投入された感じの、ややかわいそうな製品群ではあったが、Coffee LakeでGPUのEU数を大幅に増加、それなりにGPU性能が引きあがっているあたりで、あえてAMDからGPUを購入してつなげなくても行けるという目途が立ったのか、それとも思ったほどに売れないので見切りをつけることにしたのか、そのあたりは定かではない。

 10月末には、COMPUTEXで発表があったCore i9-9900KSが発売された。

Core i9-9900KS © Kadokawa Corporation 提供 Core i9-9900KS

 さっそく加藤勝明氏のレビューも上がっているのでご存じかと思うが、なんというか力業過ぎる製品であるということで、Comet Lakeが出るまでの中継ぎとしても厳しい感じではある。

2017年~2020年のインテルCPUロードマップ © Kadokawa Corporation 提供 2017年~2020年のインテルCPUロードマップ

デスクトップ向けComet Lakeは

2020年2~3月に登場か?

 ちなみにそのComet Lakeのデスクトップ向けラインナップについても、少しづつ情報が出てきている。Comet Lakeは事実上Coffee Lake Refreshではないか? と連載525回で書いたが、今のところこれを覆す情報は出てきていない。

 コアそのものはCascade Lakeではなく、引き続きSkylakeベースになる模様だ。違いはコア数やパッケージで、パッケージは従来と互換性のないLGA1200に変更される(外形寸法は従来のLGA1151と同じ)になるらしい。

 さてこのComet Lake、どうも「10コア、GPU未統合」と「6コア、GPU統合」の2つのダイがあるらしい。理由は以前も書いたが、ダイサイズ肥大化の防止だろう。

 連載508回でCoffee Lakeのダイ写真を示したが、ここにさらに2コア足したらダイサイズは176mm2程度にまで膨れ上がる。

Coffee Lake Refreshのダイ。左の水色の部分がGPUになる © Kadokawa Corporation 提供 Coffee Lake Refreshのダイ。左の水色の部分がGPUになる

 そうでなくてもCoffee Lakeの時点で14nmプロセスの生産に支障をきたしているわけで、これ以上ダイサイズが増えるのはまずい。

 加えて言えば、AMDがRyzenシリーズで、メインストリームの上の方~エンスージアスト向けは、GPU非統合でも売れることを実証してしまった(もっと言えば、そもそも初代Core i7はGPU非統合である)わけで、こうなるとGPUを削除すれば10コアにしても、CoffeeLakeよりもややダイサイズを縮小できる。おそらくCore i9とCore i7は、この10コアのダイを利用して製造されることになり、こちらはGPU非統合である。

 一方でメインストリーム向けはGPU統合がやはり求められる。そこで6コア+GPUというダイも用意され、こちらはCore i5以下の製品で利用されることになりそうだ。

 ただこの6コアComet Lake、要するにKaby Lakeを14nm++を使って製造したもの、ということになるのだがそれでいいのだろうか?

 ちなみにメモリーのサポートは、まだDDR4-2933どまりになりそうである。また、DMI(Direct Media Interface)は引き続き3.0のままで、PCI Express Gen4のサポートもない。このあたりは10nm以降に移行するまでお預けになりそうである。

 さて、最大の謎である登場時期。6月の時点では、Comet Lakeの投入を2020年第2四半期と書いたが、どうもがんばって前倒ししたようで、これが2020年第1四半期中になっている。ただ第1四半期中のいつか?というのはよくわからない。

 ロードマップの図には3月と記載したが、2月末あたりにがんばって投入される可能性もある。おそらくは2020年1月のCESあたりでこのあたりがもう少し明らかにされるだろう。

2017年~2020年のインテルCPUロードマップ © Kadokawa Corporation 提供 2017年~2020年のインテルCPUロードマップ

10nmプロセスの情報アップデート

Ice Lakeは10nmではなく10nm+

 10nmといってもインテルから新しい情報が出てきたという話ではない。連載525回で、どうもIce Lakeは10nmではなく10nm+だったようだと書いたが、Tech Insightsがこれを裏付ける情報を開示した。

 Tech Insightsが10月31日に「Intel Core i7-1065G7 “Ice Lake” 10 nm 2nd Gen Processor Analysis」というダイジェストレポートを公開した

 こちらはIce LakeベースCore i7-1065G7とCannon LakeベースのCore i3-8121Uを比較したものだが、これによれば以下の4つがポイントとして挙げられている(詳細なレポートはTech Insightsから購入可能)。

Process Highlight(製造プロセスのポイント)

  • 第1世代(Cannon Lake)と第2世代(Ice Lake)ではFinFETの構造が変わっており、より高い性能を発揮する
  • Process integration(製造工程)が変わっており、よりプロセスのマージンを広くとる
  • BEOL(Back End of Line:配線工程)が、よりシンプルかつ性能を改善するように変化している

Design Highlight(物理設計のポイント)

  • コンタクト(縦方向の結線。要するにVIA)のレイアウトを、歩留まりが高くなるように工夫している

 これにより、Ice Lakeは10nmではなく10nm+を利用していることが確認できた形になるが、10nm+ですら現在の14nm++におよばない程度の動作周波数しか出ない以上、10nm++にしても14nm++とイーブンになるか怪しいため、それはデスクトップで利用できなくても仕方がないところだろう。

 もうインテルは10nm世代のデスクトップ向けは完全にあきらめ、7nmでAMD(TSMC)に追いつく方向に完全に舵を切っている感はあるのだが、果たしてうまくいくのだろうか?

10nmで周波数を引き上げられない原因は配線層

 ところでTech Insightsのレポートで1つ気になったのが、3つ目のBEOLに関する部分だ。全文を書くと“Changes to BEOL process to simplify integration and improve performance”だが、問題はこのBEOLの指す範囲である。

 もともと半導体の場合、トランジスタなどを作りこむ工程をFEOL(Front End of Line)、その上に配線層を構築する工程をBEOLと称しており、なのでBEOL=配線層ではあるのだが、最近はMOL(Middle of Line)という概念が加わってきた。というのは配線層の中でも、トランジスタに近い部分は特別な配慮が必要になり、作り方が変わるためだ。

 連載483回でインテルの10nmプロセスを説明したが、ここで言えばM0/M1がMOL、M2~TM1までがBEOLに属することになる。

 ということは、Tech Insightsの解析によればM0/M1に変化はなく、M2~TM1側を改善した、という話も読めなくはない。

 インテルの10nmの問題はMOLの実装と考えると、依然として動作周波数を引き上げられないのは、このあたりに根っこがあるのかもしれない。

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