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夜景撮影に向いたスマホはどっち? あの「ハルヒ坂」の夜景をiPhoneとPixelで撮り比べてみた

文春オンライン のロゴ 文春オンライン 2020/12/25 17:10 山口 真弘

 最近のスマホで標準搭載となりつつあるのが、ナイトモード (夜景モード)と呼ばれる機能です。夜景から暗い室内に至るまで、フラッシュを使わずくっきり明るく撮れるこの機能は、近年新たにスマホに追加された機能の中でも、ひときわカルチャーショックを受ける機能といって過言ではありません。

 今回は、こうしたモードを搭載したスマホのうち、Appleの「iPhone」、Googleの「Pixel」それぞれの最新モデルを使い、両者の絵作りの違いや、挙動の細かな差をチェックしてみました。

今回はカメラ機能を重視した両社の最新モデル「iPhone 12 Pro Max」(左上)、「Pixel 4a(5G)」(右下)を使用してテストを行います © 文春オンライン 今回はカメラ機能を重視した両社の最新モデル「iPhone 12 Pro Max」(左上)、「Pixel 4a(5G)」(右下)を使用してテストを行います

 今回の撮影の対象となるのは、兵庫県西宮市の、通称「ハルヒ坂」と呼ばれるスポットです。名前の由来は適宜ググっていただくとして、六甲山上から南、西宮市街はもちろん瀬戸内海までもが見渡せる、夜景の撮影には絶好のスポットです。早速チェックしていきましょう。

比較のためにまず第2世代iPhone SEで撮影

 一般的なカメラで夜景を撮る場合、シャッターの開放時間を長く取るなどのテクニックが必要になります。スマホの場合、こうしたテクニックは用いなくとも、場所がどこか分かるレベルの夜景写真は簡単に撮れますが、暗い部分はつぶれているほか、拡大表示するとノイズだらけだったり、色が拾えていないこともしばしばです。

 ナイトモード(夜景モード)を搭載したスマホであれば、AIなどの技術と明るいレンズの組み合わせにより、実際に肉眼で見たのと近い夜景を、そのまま写真として保存できます。むしろ肉眼で見た以上の、日中かと見紛うほどの鮮やかな写真が撮れ、驚かされることもしばしばです。

プロ並みの夜景写真がオートで iPhoneとPixelで撮ってみた

 以下は、iPhone/Pixelそれぞれで、同じスポットで、三脚を立てて撮影した画像の比較です。使用したのは広角レンズ、完全にオートの状態で、補正やトリミングなどは行っていません。ひとくちに夜景の描写と言っても、絵作りの方向性はずいぶんと異なっていることが分かります。

 これらは、夜景にしては明るすぎるように感じることもありますが、撮影の段階で描写できていなかったディテールや色をあとから付け加えるのは不可能なだけに、何も考えずにオートで撮ってこれだけのディテールが拾えるこれらモードは、実に画期的といえます。

レンズを変えればさらに広く撮れる

 さて、こうしたナイトモード(夜景モード)は、これまではいくつか制限がありました。例えばiPhoneの場合、超広角レンズではこのナイトモードは利用できず、そのため広い範囲の夜景を撮ろうとすると、全体が暗くなってしまっていました。

 最新の「iPhone 12」シリーズではこの点が大きく改善され、視野角120°の超広角レンズでも、ナイトモードでの撮影が可能になったほか、画質も格段に向上しました。従来とほぼ同じレンズ構成で、ここまで変わるというのは驚きです。

 またPixelシリーズは、今日の夜景モードの流行を作り出した立役者ではあるものの、超広角レンズがそもそも搭載されておらず、狭い画角でしか夜景の撮影が行えませんでした。最新モデルでは視野角107°の超広角レンズが新たに搭載され、広い範囲の夜景撮影が可能になりました。

iPhoneの「ナイトモード×望遠」の落とし穴

 一方、両製品の違いがはっきりと出るのが、望遠で夜景撮影を行った場合です。

 まずiPhoneですが、ナイトモード×望遠(2.5倍)で撮影した写真を見ると、意外とディテールが粗く、前述の超広角や広角で撮った写真のクオリティを見たあとでは「あれ?」と首をひねってしまうほどです。広角で撮影した写真を引き伸ばしたものと見比べても違いはほとんどなく、まるでデジタルズームのようです。

 それもそのはず、実は「iPhone 12 Pro Max」のナイトモードにおける望遠撮影では、望遠レンズは使われず、広角レンズで撮影した夜景を、内部で引き伸ばしているからです。言うなればデジタルズームと同じです。試しに望遠レンズを指で覆ったままナイトモードの望遠撮影を行っても、何ら支障なく撮影が行えてしまいます。

 もともと望遠レンズは広角レンズよりもレンズ自体は暗く、決して暗所での撮影向けではないため、ナイトモード×望遠という組み合わせに限定して、明るい広角レンズを代用していると推測されます(ただし例外となるケースもあるようです)。広角レンズで撮った写真から切り出した画像とそっくりなのは、言うなれば当たり前ということになります。

もともと望遠レンズのないPixelが「綺麗に撮れる」理由

 一方のPixelは、もともと望遠レンズを搭載しておらず、広角レンズで撮ったものをAIがズーム処理しています。つまり夜景であってもなくても望遠はデジタルズームなのですが、こと夜景に関しては、望遠で撮った画像のほうが、広角で撮って切り出した画像よりもシャープで、望遠撮影時のみ何らかの特殊な画像処理が行われていると推測されます。

 ちなみにiPhoneとPixelを比べると、iPhoneではマンションの各フロアの明かりがひとつの塊になってしまっているのに対し、Pixelではひとつひとつが分離して見えるなど、細部までくっきりしています。ややシャープネスがかかりすぎている印象はあるのですが、発色の良さも含めて、今回の「ハルヒ坂」の夜景に関しては、Pixelのほうが上と言えそうです。

 もっとも、これが夜景ではない日中の望遠撮影となると、評価が完全に逆転するのが面白いところです。以下のように、Pixelは木の枝や人物のディテールがぼけており、また後方の柵に至っては縦の格子が完全に消えているのに対し、iPhoneはすべてがくっきりとしており、まだまだ余力があることをうかがわせます。

夜景がスマホで綺麗に撮れる!

 ここまでをまとめると、iPhoneとPixel、両シリーズの最新製品を比較した場合、望遠モードで通常の風景を撮るならばiPhone>Pixel、夜景を撮るならばPixel>iPhoneと、それぞれ得手不得手があることが分かります。夜景に限れば、広角と超広角は両者互角、望遠の場合のみPixelがやや有利、といったところでしょうか。

 もっとも今回の「ハルヒ坂」のように、構図の中に何基もの街灯があり、かつ前景と遠景がはっきり分かれているケースもあれば、遠景がなく周囲も完全に真っ暗なケースもあるでしょう。また屋外ではなく、照明の乏しい室内でポートレートモードで撮るというニーズもあるでしょうし、オートでの撮影は参考にならないという上級者もいるはずです。

 このように、細かい条件の違いを挙げ始めるとキリがないのですが、確実に言えるのは、ナイトモード(夜景モード)そのものを搭載しないスマホとの差は、やはり歴然ということです。ナイトモード(夜景モード)を搭載したスマホをゲットしたら、今回の「ハルヒ坂」をはじめとした各地の夜景スポットに(密にならないよう配慮しつつ)出掛けてみてはいかがでしょうか。

(山口 真弘)

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