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【平昌五輪】ロシア「ボイコット」の強硬論も IOCが5日にも参加是非判断 メドベージェワら厳しいドーピング検査も

産経新聞 のロゴ 産経新聞 2017/12/04
【平昌五輪】ロシア「ボイコット」の強硬論も IOCが5日にも参加是非判断 メドベージェワら厳しいドーピング検査も © 産経新聞 提供 【平昌五輪】ロシア「ボイコット」の強硬論も IOCが5日にも参加是非判断 メドベージェワら厳しいドーピング検査も

 ロシアのドーピング問題をめぐり、来年2月に開催される平昌五輪へのロシア選手団の参加が危ぶまれている。世界反ドーピング機関(WADA)は11月中旬、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)の資格停止処分継続を決定。当初予定の7割の選手団の出場にとどまった昨夏のリオデジャネイロ五輪よりも厳しい措置が下されるとの見通しが広がっている。WADA幹部からは「クリーンな選手への大会参加は担保されるべき」との声もあるが、ロシアでは「五輪をボイコットすべき」との強硬論も飛び交っている。(佐々木正明)

元検査所所長が組織的ドーピングを告発

 ロシアのドーピング問題は2014年にロシアの陸上選手が告発。その後、本格調査に乗り出したWADAに対して、モスクワ検査所所長を務め、不正の中心人物だったグリゴリー・ロトチェンコフ氏が協力し、ドーピング漬けになった選手の検査を隠蔽していた数々の工作が暴露された。

 14年のソチ五輪時のドーピング検査場では巧妙な手口で、ロシア人選手の尿検体が保管されていた「クリーンな検体」にすり替えられていたほか、検査官をごまかすため禁止薬物が検知されにくい「カクテル」を作り、選手の筋肉増強などに役立てられていた。

 工作には連邦保安局(FSB、前身はKGB)要員も加わっており、WADA調査チームの責任者、リチャード・マクラーレン氏は「不正の域を越えた犯罪」と断罪。昨年12月の最終報告書では五輪・パラリンピック種目の30以上の競技で1千人超の選手が関与したと報告した。

失格者相次ぎ、ソチ五輪メダル数1位から陥落

 調査を受け、国際オリンピック委員会(IOC)はロシア選手の全検体の再検査に乗り出し、ソチ五輪ノルディックスキー距離男子50キロフリーで金メダルを獲得したアレクサンドル・レゴロフらを永久追放処分に。一連の処分者は22人となり、ロシアはソチ五輪国別メダル数のトップの座から滑り落ちた。

 ロシアではスポーツと政治は切り離せない。トップ選手たちは国威発揚の道具として使われたとの指摘もある。米国に亡命したロトチェンコフ氏は10月に米紙ニューヨーク・タイムズに書簡を寄せ、「多くの点でロシアの選手たちは犠牲者だ」と訴えた。

 「ロシアのシステムでは、選手たちは不正をする以外選択肢はないのです。例え、何人かが積極的に手を染めていたとしても」

 ロトチェンコフ氏は国ぐるみの関与を裏付ける手書きの日記を保管しており、日記にはソチ五輪開幕直前に当時のムトコ・スポーツ相(現副首相)に、不正を隠蔽する選手のリストを渡したことなど、当時の生々しい実態が記されているという。

 IOCは「(日記は)後に書き直したとも事実を故意にねじ曲げて書いたものとも思えない」結論づけ、重要な証拠と判断した。

朝5時半に尿検体提出

 平昌五輪出場を目指す有力選手は厳しい監視の目にさらされている。フィギュアスケート女子の金メダル有力候補、エフゲニア・メドベージェワのコーチ、エテリ・トゥトベリーゼ氏はメドベージェワが大会期間中と、オフシーズンでも年に5、6回、ドーピング検査を受けているとし、「朝5時半に起こされ、尿検体を提出することもあった」と明かした。

 トゥトベリーゼ氏は「これは不公平だ。彼女はドーピングなんて一切していない」と訴えた。右足の負傷で治療中のメドベージェワも「これまでは決して言わなかったが、ロシアが参加しない五輪は五輪でないと言いたい」とも語った。

 反発するロシアは捜査当局がロトチェンコフ氏を権力乱用罪で立件し、米国に身柄引き渡しを求めている。また、独自に700人以上の選手やコーチらを調査した結果、組織ぐるみのドーピングはなかったと結論づけた。

「裏切り者の中傷」と反発するプーチン政権

 不正はロトチェンコフ氏が個人的に行ったと断定しており、ペスコフ大統領報道官はロトチェンコフ氏の告発を「裏切り者の中傷」といい、ムトコ副首相は「ロシアのスポーツを貶めるための試みだ」とも語った。

 IOCは12月5日の理事会でロシアの五輪参加の可否を判断する。選手団の開会式への不参加やクリーンな選手の国旗掲揚なしでの出場が検討されていると米メディアで伝えられているが、ロシア下院のレベジェフ副議長は条件付きの参加は「屈辱的」とし、「平昌五輪には参加しない」とボイコットを示唆した。

 ロシアオリンピック委員会元幹部のエリーナ・アニキナさんはWADA会合が行われたソウルから自らのフェイスブックにコメントし、「核で世界を脅かしている北朝鮮は平昌五輪への参加を懇願されているのに、ロシアは違う。こんなことはあり得るのか?」と疑問をただした。IOCがどんな決断を下すか、注目される。

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