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米英首脳会談、権威主義との対決で協調打ち出す

産経新聞 のロゴ 産経新聞 2021/06/11 12:40

【ワシントン=黒瀬悦成】バイデン米大統領は10日、先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれる英南西部コーンウォールでジョンソン英首相と会談し、米英同盟の強化や民主制度の擁護などをうたった合意文書「新大西洋憲章」を発表した。バイデン氏は中国やロシアの脅威をにらみ、第二次世界大戦から続く米英の「特別な関係」を再活性化させ、世界的な「民主主義対権威主義」のせめぎ合いで英国と協調していく立場を打ち出した。

新大西洋憲章は、第二次大戦下の1941年8月に当時のルーズベルト大統領とチャーチル英首相が発表した大西洋憲章にならって8項目が掲げられた。

「21世紀における多様な挑戦に対応するための制度や法律、慣行の強化」「主権と領土保全、紛争の平和的解決」といった方針や原則に加え、ロシアによるサイバー攻撃などを念頭に「偽情報工作や悪影響を及ぼす活動による選挙などへの干渉に反対する」といった文言も盛り込まれた。

80年前の大西洋憲章と同様に、公海における航行の自由にも言及し、東・南シナ海で覇権的行動を強める中国をも牽制(けんせい)した。

バイデン氏は今回の英国訪問で、新大西洋憲章に加え、米国による世界的な新型コロナウイルスの取り組みを「世界のワクチンの貯蔵庫」と称し、かつて連合国に積極的に兵器を供与したルーズベルト氏が米国を「民主主義の兵器庫」と位置付けた例にならった。

バイデン氏が第二次大戦を連想させる言葉を多用したのは、同氏が中露との対決を「自由主義対全体主義」の戦いとされた第二次大戦になぞらえ、西欧諸国に当時のような団結を期待しているためだ。

そしてバイデン氏は、先の大戦で米英が連合軍の主軸を担ったのと同様に、対中露でも英国を重要なパートナーと見なしている。

バイデン氏は昨年の大統領選の期間中、トランプ前大統領と親しかったジョンソン氏を「トランプ氏のクローン(複製人間)」などと呼んで警戒していたが、自身が尊敬するルーズベルト氏にならって米英同盟の強化に踏み出した。

一方、チャーチル氏を崇拝し、同氏に関する著作があるジョンソン氏も、バイデン政権下の米国との連携強化に向け、新大西洋憲章の作成にバイデン氏以上に乗り気だったとされる。

老練な政治家として知られるジョンソン氏は、米国と自由貿易協定(FTA)交渉などの懸案を抱える中、西欧諸国との関係を悪化させたトランプ氏との過去を清算し、バイデン氏との関係を新たに築く思惑が強かったとみられる。

ジョンソン氏は約80分間にわたったバイデン氏との会談後、記者団に「(会談は)新鮮な空気を深く吸ったような気分だ」と述べてバイデン氏をたたえた。

ただ、中国と関係の深いドイツやフランスなどとは対中姿勢に温度差があり、バイデン氏がG7サミットや14日の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で狙い通りに西欧諸国をまとめあげられるか、その手腕が問われることになる。

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