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高橋大輔は4年間のブランクを埋められるのか、再挑戦を決めた本当の理由

週刊女性PRIME のロゴ 週刊女性PRIME 2018/07/09 21:00 週刊女性PRIME [シュージョプライム]
高橋大輔 © 週刊女性PRIME 高橋大輔

《2017年の全日本フィギュアスケート選手権にテレビの仕事でナビゲーターとして立ち合いました。それぞれの立場、それぞれの目標を持って戦う選手たちの姿を見て感動し、「この緊張感の中で戦いたい、滑りたい」と思うようになりました》

満足ではなかったラストシーズン

 7月1日、スポーツキャスターなどで活躍する高橋大輔が、フィギュアスケートの現役選手として復帰することを公式ホームページで発表した。ソチ五輪シーズン以来、実に4年ぶりの復帰となる。

「'14年のソチ五輪前後に右足のケガが相次ぎ、同シーズンの全日本選手権では5位。ソチ五輪では6位入賞を果たしたものの、世界選手権は欠場して休養に。その後、10月に引退を発表したため、最後の試合はソチ五輪でした。満足のいくラストシーズンではなかったと言えます」

 こう語るのはフィギュアスケート解説者の佐野稔さん。安藤美姫も'13年に長女を出産後に1年間休養し、そこから全日本選手権への出場を果たしているが、高橋も目標にしている全日本選手権は、実はそう簡単に出られる大会ではない。

「まず東北・北海道、関東、東京、中部、近畿、中四国・九州の6ブロックからなる地方予選があります。各ブロックの上位者が、地方予選を3ブロックずつ統合した東日本ブロック、西日本ブロック大会に出場、その上位者が全日本選手権に出場できるのです」(佐野さん、以下同)

 羽生結弦や宇野昌磨をはじめ私たちがテレビで見かける選手は、前年度の成績が考慮されるため、全日本選手権に出場するまでの予選大会が免除されている。シード選手ではない高橋は、地方予選から勝ち上がっていかなければならない。

「前年度の記録をもとに、各ブロックで予選を通過できる枠が決まっています。西日本は圧倒的に枠が多いので、高橋くんは出やすいでしょう」

 羽生や宇野以外に、田中刑事や友野一希などの若手も台頭しているが、高橋は彼らとの対峙について、「自信がついたら食らいつきたい」と少々控えめ。しかし、彼にも2つの“追い風”があるようだ。

1つ目は男子フリーの競技時間が4分に短縮されます。30秒短くなることで、体力が落ちていたぶんがラクになるかもしれません。

 2つ目は、ジャンプの基礎点と出来栄え点の見直しです。4回転ジャンプの基礎点が下がり、出来栄え点が従来の6段階評価から11段階評価になりました。高橋くんくらい素晴らしいジャンプを跳ぶことができれば、点数も稼ぎやすくなります」

 ただ、羽生と宇野のジャンプは別格だと佐野さんは語る。

「この2人は4回転ジャンプの種類も豊富で、特に羽生くんは美しいジャンプを跳ぶことができます。4回転の価値自体が下がるとはいえ、出来栄えという付加価値がつくため、より差はつきやすくなると思いますよ」

スポーツ選手のピークは28歳まで

 “フィギュア王国”とも呼ばれる愛知県名古屋市でフィギュアスケーターのほか、野球やゴルフの選手に特化したトレーニングなども行う『プラストレーナーズ』のスポーツトレーナー・柴田達也さんによれば、高橋と若い選手との間には、年齢による壁が多少あるという。

「肉体的な意味では、筋肉をつけるなどのトレーニングでカバーすることができます。でも、筋力と同じくらい大切なのが“感覚”。いわゆる神経系は、筋力よりも年齢によって衰えやすいのです」

『運動神経』という言葉はよく聞くものの、“神経系”は聞き慣れない言葉。いったいどういうことなのか。

スポーツ選手は一般的に、20代前半から25歳が肉体的なピーク、精神面も含めると28歳ごろまでがピークと言われています。“神経系”とは脳から神経を通じて筋肉に指令を送るスピードや感覚のことで、主に、瞬発力やバランスなどが挙げられます」(柴田さん、以下同)

 今回のサッカーW杯に出場した日本代表選手はベテランがそろっており主力はアラサー以上。“おっさんJAPAN”とも呼ばれたが、活躍は目を見張るものがあった。

「競技によって特色があり、サッカーは持久力がより必要です。フィギュアスケートは演技時間が短いものの、短時間で爆発的な力を発揮する神経系の分野の鍛錬が必要です。

 ジャンプも神経系による部分が大きいのですが、これらは、トレーニングである程度、補えます。ただ、フィギュアスケートでは柔軟性も必要になるため、身体の柔軟性を保ちやすい若い選手のほうが戦いには有利でしょう

 今回、復帰を決意した理由について高橋は、公式ホームページに発表した当日に会見でこう語っている。

田中刑事選手の存在

「今まで僕は世界で戦うために現役をやっていたんですけど、(取材の際に、出場している選手が)全日本選手権という場で結果を残すために、自分自身を追い込んでいる姿に感動しました。そういう戦い方もありなんじゃないかと」

 昨年の全日本選手権に出場した中京大学の山本草太は、会場の喝采を浴びた選手のひとり。彼のスケーティングはまさに、自分を追い込んだもので、高橋の心を揺さぶった。

「山本選手はジュニアからシニアに移行する'16年シーズンに右足首を骨折。その後、2度の骨折と3度の手術を経て、昨シーズン2年ぶりに全日本出場を果たしました。そこまでの道のりは平坦ではなく、観客の感動を呼んだのです」(スポーツ紙記者)

 高橋はキャスター業を通じて、多くの選手に触れ合った。その中のひとりが平昌五輪に出場した田中刑事だ。

「高橋さんと同郷の田中選手は、関西大学のリンクをホームにしています。ここは、高橋さんのホームリンクでもある。田中さんの練習する様子を見ながら、“自分ももう1度、頑張りたい”という気持ちを高めていったようです」(スケート連盟関係者)

 佐野さんもこう続ける。

「試合出場者を、ある種うらやむ気持ちもあったと思います。私もキャスターとしてスポーツ選手を取材する側も経験し、会場に行くと独特の緊張感を思い出したものでした。

 また、自分が取材をされる側だったことを思い出したのではないでしょうか。自分の出身スポーツで活躍する後輩たちの姿を見て、感じるものもあったことでしょう」

 佐野さんにも同様の経験が最近あったそうで、

「先日、私も22年ぶりにショーに出演しましたが、やっぱり気持ちよかったです。試合とショーという違いはありますが、リンクでひとり滑る感覚は何物にもかえがたいんです。

 また高橋さんは選手をやめてから大人の魅力を増しているでしょう。演技だけではなく、自分自身が追い詰められる緊張感を客観視して試合に出られる年齢になったのではないでしょうか」

 今回、話を聞いた2人が気にしていたのは、いずれも“感覚”だった。

「先ほど話したとおり、今の年齢でも十分戦えるとは言えども、“全盛期”まで戻すことができるかどうかはわからないと思います。フィギュアスケートはたったの1日、1週間でも氷の上にのらないだけで、感覚が変わってしまうのですからね」(柴田さん)

 佐野さんも別の懸念があるようで、

「ショーでしか滑ってませんから“勝負感”は鈍っているかもしれません。半年や1年なら取り戻せるでしょうが、4年ともなると、試合前のドキドキ感や、追い詰められたときの緊張感を取り戻せるかどうかが、活躍のカギになりそうですね」

母親に話を聞く

 復帰について高橋は家族にどのように報告しているのだろうか。母・清登さんに話を聞くと、意外な答えが。

─復帰について、大輔さんとお話はされましたか?

「いえ、特段そういった話はしていなかったですね」

─大輔さんの引退後に、選手生活について後悔などは述べていたのでしょうか?

「いえ、そういったことも特になかったですよ。(大輔が)海外に行っていたときもそんな感じでしたから……。あんまり(スケートについて)話というか、そういうこともしないもので」

─1年間限定ということですが、どんな1年にしてほしいですか?

「自分で決めたことだから、やりきってほしいですね。好きに頑張ってほしいです。それだけですね」

─頑張ってほしいですね。

「ぜひ、応援してやってください!」

 昨年の全日本選手権を見て「自分のスケートを取り戻したい」と考えたという高橋。己との戦いに勝ち、今度こそ“納得のいく選手生活の終わり”を手にしてほしい。

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