古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

原氏が獲り、高橋監督が育て、原氏が“おいしく頂く”因縁 岡本“托卵”成功…今季大化け打率3割・30本塁打・100打点

zakzak のロゴ zakzak 2018/10/11 16:56 株式会社 産経デジタル

 巨人・岡本和真内野手(22)がレギュラーシーズン最終戦の9日・阪神戦(甲子園)で、自身初の2打席連発となる32号ソロ&33号2ラン。3打点を加え、史上最年少で打率3割、30本塁打、100打点を達成した。今季限りで退任する高橋由伸監督(43)の置き土産を手にするのは、再々登板が決定的な原辰徳前監督(60)。前政権最後のドラフト1位に岡本を選んで高橋監督に預けたら、若き4番打者に大化け。まんまと“托卵”に成功した格好だ。(笹森倫)

 ここで打ったらすごいことになる。そんな場面で本当に本塁打を打てるのがスーパースターだ。

原氏が獲り、高橋監督が育て、原氏が“おいしく頂く”因縁 岡本“托卵”成功…今季大化け打率3割・30本塁打・100打点: 巨人・高橋由伸監督(左)の見つめる中、練習を行う岡本和真 © zakzak 提供 巨人・高橋由伸監督(左)の見つめる中、練習を行う岡本和真

 今季最後となることが確実な、8回1死二塁の第5打席。前打席のソロ弾で100打点の大台まであと2に迫り、もしここで一発出れば、ぴったりノルマ到達だった。

 「(意識は)多少あったが、何とか走者をかえそうと思った」と岡本。フルカウントから2球ファウルで粘った後、内角の150キロ直球を左中間スタンドへほうり込んだ。

 自らのバットで最終戦を勝利に導き3位確定。クライマックスシリーズ(CS)進出を決めた試合後、興奮気味の報道陣に対して、殊勲の岡本は「1、2打席目(の好機)に打てなかったのが反省かなと思っています」と冷静に応じた。

 6回に失策も絡んで2点リードから追いつかれ、チームに不穏な気配が漂った直後の7回先頭。3打席凡退の岡本は「食らいついて塁に出ようと思った。うまく引っかかってくれた」。打った瞬間に柵越えと分かる、値千金の勝ち越し弾が突き刺さった。

 これが9月13日以来、約1カ月ぶりのアーチ。翌14日の試合で右手指に死球を受けて以来、打点も本塁打もぱったり止まってしまい、100打点は極めて困難な状況に追い込まれていたが、この日の大爆発で最終成績は打率・309、33本塁打、100打点。巨人の4番にふわさしい堂々たる数字を残した。

 2014年ドラフトで巨人が単独で1位指名。スカウト陣は即戦力の先発右腕、早大・有原(現日本ハム)らを1位に推したが、当時の原監督が次代の4番候補として智弁学園高で通算73本塁打の岡本を猛プッシュ。当時は一塁しか守れず、脚力もない「打つだけの選手」という評価から他球団が二の足を踏む中で、1本釣りに成功した。

 当時の巨人は3年連続優勝も、CSファイナルステージで阪神によもやの4連敗敗退。球団首脳が大物OBの松井秀喜氏を後継監督の筆頭候補と公言する異様な状況下、契約最終年の翌15年は日本一奪回が至上命題にも関わらず、原監督は未来の長距離砲に先行投資した。

 元巨人ヘッドコーチで夕刊フジ評論家の須藤豊氏は「その年の春にはもう、原監督は『岡本を早く上で使ってみたい』と熱っぽく話していた。坂本を中心選手に育てたが、4番までは見込めない。自分でドラフトで獲って、一人前のホームランバッターに育てたいと思ったのだろう」と明かす。

 ヤクルトとの優勝争いのさなかの8月下旬に1軍に呼ばれた岡本は、3打席目で公式戦初安打となるプロ1号本塁打。だがV逸の原監督が志半ばで退任すると、後任の高橋監督のもとで伸び悩んだ。16年の1軍出場は3試合のみ。昨季も同15試合にとどまり、ここ2年間はノーアーチだった。

原氏が獲り、高橋監督が育て、原氏が“おいしく頂く”因縁 岡本“托卵”成功…今季大化け打率3割・30本塁打・100打点: 今季最終戦で100打点に到達した岡本(写真)。元はといえば原氏が獲り、高橋監督が育てた。来季、原氏のもとで大輪の花を咲かせるか © zakzak 提供 今季最終戦で100打点に到達した岡本(写真)。元はといえば原氏が獲り、高橋監督が育てた。来季、原氏のもとで大輪の花を咲かせるか

 それが今季は大化け。開幕から結果を出し続けて先発を守り、ゲレーロら期待された高給取りが不振にあえぐ中で、6月に初めて4番に抜擢されると、最後まで譲らなかった。

原氏が獲り、高橋監督が育て、原氏が“おいしく頂く”因縁 岡本“托卵”成功…今季大化け打率3割・30本塁打・100打点: 原辰徳氏 © zakzak 提供 原辰徳氏

 岡本は「オープン戦から使ってもらっていたので、期待に応えたかった。少しは応えられたかな」と高橋監督に感謝。その指揮官が優勝できないまま今季で退き、大きく育った果実にありつく後任が、4年ぶりに返り咲く原監督というのは因果な巡り合わせだ。

 リーグ優勝7度の名将とはいえ、原政権があのまま続いていたら、岡本がここまで伸びた保証はない。過去には東海大相模高の後輩にあたる08年ドラフト1位の大田(現日本ハム)ら、原監督が自らマンツーマン指導に乗り出すなど入れ込み過ぎ、裏目に出ることもあった。

 球団関係者は「去年までの岡本なら、原監督に替わってどうなったか分からないが、今年これだけやったから来年も大丈夫でしょう」と太鼓判。なんとか間に合った岡本は、山だけでなく谷もあった飛躍の1年を「1軍で打てないことを悩めるのは、僕にとっては楽しいこと」と言い切った。昨季までの雌伏を思えば、率直な思いなのだろう。

 試合後の囲み取材終盤、夕刊フジが「こんな結果になって“自分は持ってる”と思った?」と尋ねると、ニヤリ。「またまた~」といなす22歳に報道陣から笑いが起き、囲みの輪が解けた。このおおらかなふてぶてしさがあれば、大監督のもとでも自分なりの4番像を貫けるはずだ。

 【托卵(たくらん)とは】ある鳥が他種の鳥の巣に卵を産み付け、“仮親”に育てさせること。カッコウ、ホトトギスなどにこの習性があり、ウグイス、モズなどの巣に産卵する。多くの場合、仮親の卵より早く孵化(ふか)し、仮親の卵やひなを巣の外へ排除してしまう。

zakzakの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon