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日米のスカウトが殺到した菊池雄星 “不作の年”に現れた超目玉選手

デイリースポーツ のロゴ デイリースポーツ 2018/09/14 20:00 デイリースポーツ/神戸新聞社

 現在、西武の快進撃をエースとして支えている菊池雄星は、高校生がメジャー行きを希望する選手の先駆けだった。花巻東の3年時には、ドラフト会議前に日本のプロ野球12球団、メジャー8球団と会談するという異例の事態もあった。それほど高校時代から注目されていた存在だったが、現在AbemaTV東京六大学野球中継の解説を担当している元阪神スカウトの菊地敏幸氏も、その騒動の中にいた1人だった。

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花巻東で活躍していた当時の菊池雄星 © デイリースポーツ/神戸新聞社 花巻東で活躍していた当時の菊池雄星

 雄星の担当スカウトではなかったが、東日本統括スカウトとして彼を追っていた。2009年のセンバツ出場が決まり、3月のオープン戦解禁となったぐらいだったか、土浦日大のグラウンドでじっくり見た時、「これは文句なしで今年のナンバー1」と確信した。センバツ前から12球団のスカウトの視線をくぎ付けにし、阪神も早い段階から「1位は菊池で行きましょう」ということになっていた。

 同じ高校生左腕で思い起こすのは、1997年のドラフトで2位指名した水戸商の井川慶だが、雄星と比較すると、「将来性の井川、完成度の雄星」と言った感じだった。井川はプロでしっかり鍛えればすごい選手になると思っていた。対して雄星は早い時期から1軍で活躍できる力があると見ていた。阪神はその当時、投手が補強ポイントだっただけに、どうしても雄星が欲しかった。

 ただドラフト前、世界を巻き込む騒動が起こった。プロ野球のスカウトは直接選手と話し合いができなかったが、メジャーのスカウトには当時そういうルールがなかった。そんな中、雄星はメジャーのスカウトから話を聞くうちにメジャー指向が高まり、メジャー行きを熱望したため、日本と米国のスカウトによる面談が行われることになった。

 私も担当の中尾スカウトとともに雄星と面談した。松坂の甲子園時代の投球と比較したデータを持参。防御率や被本塁打数など、ほとんどのデータで松坂が上だったことを提示し、「松坂でも日本のプロ野球を経由してメジャーに行ったのだから」と説得した。最終的には日本を選んだが、ドラフトで競合の末に西武に入団。阪神とは縁がなかった。

 昨年16勝をマークして最多勝に輝き、今オフにはメジャー挑戦の可能性もあると言われている。プロに入って今年で9年目、高校時代に抱いていた夢を叶えるところまで来た。ぜひ優勝して気持ちよく送り出されて欲しいと願っている。

 ちなみに余談だが、この年のドラフトは不作の年と言われ、注目を集めた選手は投手が雄星、野手は横浜・筒香ぐらいしかおらず、あとホンダの長野は巨人が1位指名することが事実上決まっていた。阪神はドラフトで雄星を抽選で外した時点で、「まずいな」という雰囲気になった。その時、担当の中尾スカウトは西武など他球団のスカウトと花巻東の近くの喫茶店で待機していたのだが、東京に戻って会った時、ガクッと肩を落としていたのを今でも覚えている。

 ◆菊地敏幸(きくち・としゆき)1950年生まれ。法政二から芝浦工大を経てリッカー。ポジションは捕手。89年にスカウトして阪神入団。藪、井川、鳥谷らを担当。13年限りで退団した。今年から「AmebaTV」で東京六大学野球リーグの解説を担当。

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