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「マイアミの奇跡」から25年 五輪挑む川口能活コーチ注入した不屈の闘志

日刊スポーツ のロゴ 日刊スポーツ 2021/07/22 17:37 日刊スポーツ新聞社

東京五輪で金メダル獲得を目指すサッカー男子日本代表の挑戦が始まる。元日本代表の川口能活GKコーチ(45)は、19年から、この世代のチームに加わった。96年アトランタ五輪の1次リーグで王国ブラジルを破る、「マイアミの奇跡」の立役者。日本代表でも長く活躍し4度のW杯を経験した名GKが、コーチとして、後輩たちとともに、日本サッカー界の悲願に挑む。

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くしくも、あの歓喜からちょうど25年目の日が南アフリカとの初戦となった。96年7月22日(日本時間23日未明)、日本はブラジルに勝った。4万人を超えるマイアミ・オレンジボウル競技場。大観衆の前で起こした大番狂わせ。守護神の川口はDFロベルト・カルロスのFKを止めるなど、1-0での金星の立役者となった。その後、43歳まで現役を続け、19年に指導者になったばかり。すぐに代表チームに指導にあたる。「コーチとして経験がない自分が、大きな舞台で戦うチャンスをもらった。感謝しかない」。今も、身が締まる思いでいる。

代表での練習は実戦を想定したメニューを組んでいる。練習中、選手たちが立ち止まってシュートを受けるようなシーンはほとんどない。体勢を崩したところからセーブさせるなど、より難しい状況を常につくっている。「テクニックの反復はクラブで鍛錬されている」。限られた代表の活動期間で、培ってきた技術を最大限活用できるようにするための準備に、時間を割いている。

丹念な指導は選手にいき届いている。若いGK鈴木は「シュートをキャッチするのか弾くのか、またどこにはじくのか、ポジションも高すぎず、下がりすぎず、細かく言われている」と話す。正GKとなった谷も「細部までこだわり、どこまで突き詰められるか」。5日から静岡・御前崎で行われていた直前合宿で、きまって最後まで残って練習するのはGKの3人だった。

マイアミでの経験を選手に話すことは「正直ない」という。伝えているのは、現役時代の自身を支えてきた不屈の闘志。「技術、戦術もだが、やはり戦う気持ちを大事にしてきた。最後のとりでとして、ゴールを割らせない準備を」。もちろん、失点することはある。12日のホンジュラスとの強化試合では1失点。試合後はGK谷に「失点した後の行動が一番大切だ」と言葉をかけた。うまくいかなかったときの振る舞い。そこでも真価が問われるのがGK。それをだれより知り、体現してきた日本のレジェンドの言葉は重い。

アトランタ五輪ではマイアミの奇跡があっても、決勝トーナメントには進めなかった。強敵に1つ勝つことがやっとだった日本は25年を経て、金メダルを目標に掲げるチームになった。「彼らを舞台に立たせるため、全力でサポートする。その一心です」。若武者たちに、自身が果たせなかった夢を託し、ともに戦う2度目の五輪が始まった。【岡崎悠利】

東京五輪男子サッカー日本代表の川口能活GKコーチ(21年7月5日) © 日刊スポーツ新聞社 東京五輪男子サッカー日本代表の川口能活GKコーチ(21年7月5日)

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