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内村航平、4度目の五輪 極限の鉄棒「東京」に名刻む

産経新聞 のロゴ 産経新聞 2021/07/22 19:18
会場練習に臨む内村航平=21日、有明体操競技場(川口良介撮影) © 産経新聞 会場練習に臨む内村航平=21日、有明体操競技場(川口良介撮影)

オールラウンダーからスペシャリストへ。体操男子個人総合で五輪2連覇の内村航平(ジョイカル)は、鉄棒に種目を絞って東京五輪に挑む。自身4度目の五輪。32歳になった体操界の〝キング〟が、どんな演技を見せるのか。世界が注目している。

「越える」ではない

日本の体操男子は今大会のスローガンに「Beyond1964」を掲げた。5つの金メダルを獲得した1964年東京五輪を越えよう、との意気込みだ。これに対し、内村は「目標として置くのは良いと思う」と断って、こう語る。「僕個人の意見としては、少し違う。結局、無理なんですよ、何かを越えるって」

どういうことか。日本が団体総合制覇を成し遂げた2004年アテネ五輪。鉄棒の最終演技者、冨田洋之の着地は「栄光への架け橋だ」の名実況とともに列島の記憶に刻まれた。テレビ映像に心を震わせた当時高校1年の内村は、後に「冨田さんの着地を越えたい」と誓う。

12年後、果たして日本のエースに成長し、リオデジャネイロ五輪で悲願の団体金メダルに輝いた。そして気付く。越える、越えないではなかったのだ、と。アテネの記憶は自分にとって大切なまま。一方、リオの結果には胸を張れるし、刺激を受けた後輩も多くいた。

「アテネはアテネ、リオはリオ、64年の東京はそのときの東京。今年の東京五輪にしか出せない何かがあるんだと思う。今のチームで新しい歴史に名を刻める演技だったり、名場面を作れたらいいんじゃないか」

新型コロナウイルス禍中とはいえ、五輪が開催される意義は小さくない。観客を入れられなくとも、五輪の核である競技の場は確保された。アスリートの心技体と未来を担う若者の多感な感性は、この夏に交差する。きっと歴史は断絶しない。

「芸術鑑賞」の演技

代表入りを決めた内村に尋ねた。自身が五輪で体現したい「美しい体操」とはどういうものなのか。

「芸術鑑賞です」

即答だった。「芸術を鑑賞しているように錯覚させるくらいの演技ですね。スポーツ観戦じゃない」。体操になじみがない人も心地良く感じさせるほど、自然でハイレベルな動きを出したいのだという。

追求しているのは、人間が体を操って表現しうる「極限」だ。勝負の世界に生きながらも、その志は勝敗の概念を超越し、見る者全ての心を相手にする。

24日から始まる体操男子。洗練を重ねた1分間の鉄棒を披露するのは、もうすぐだ。(宝田将志)

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